藤沢紙工賞


産卵ショー
渡辺 裕子

キリコやダリの形而上絵画のように被写体から隠されたナラティブ(物語)を想像させる作品です。主役のアオリイカの命をめぐる神秘、愛、付け狙うオスイカが放つ不安、そしてのぞき見する人間(ガン見ですけどね)。それを撮影なさっているのが奥様と後から伺って、まさにシュールレアリスムだと思いました。うーん、これが綺麗ごとではない世界だよねと()。加えて、産卵場所を人為的に設置していることがわかることも自然とどのように向き合うかについて考えさせられます。生き物だけを撮影する作品が多い中で、自然と人間の関係性や撮影者のナラティブが見えるような作品です。ブラボー!

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